11/26ナショナルトラスト Q&A
/ 12 8, 2009 01:04 PM
11月26日に開催されたセミナー
ナショナル・トラスト
日本の美しい風景を永遠に
の質問のお答えが講師の松浦さんからかえってきました!
早速ご紹介いたします。
当日のお話では、ナショナルトラストの歴史、発祥の地イギリスと日本の活動形態などの相違、
具体的に誰がどんなしくみでどんな場所を守っているのか、などが紹介されました。
そして活動上の課題も。
ひとつひとつ丁寧に、でもとても明快にお話くださった松浦さん。
下記のお答えも、気持ちのこもった、わかりやすい回答です。
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Q.
生物多様性地域戦略が策定されていますが、期待されていることは何かありますか?
A.
大気、水、土壌、太陽の光、野生の生きものから構成される、自然生態系は
私たち人類の生存の基盤となります。これらが健全に保たれてこそ、私たち
の社会は将来にわたり維持していくことができます。生物の多様性は、自然の
生態系を健全な状態にあるかどうかの指標となります。
生物の多様性という言葉は、正直、まだ一般的でなく、またその言葉の意味
するところの理解となるとまだまだ、浸透していないのが現状です。
生物の多様性というと、テレビの映像なのでも、とかく、熱帯雨林のジャン
グルや珊瑚礁などが映し出され、これはこれで、生物の多様性の象徴ではあり
ますが、これと同じくらい、「日本の」そして、日本のなかのそれぞれ
の「地域ごとに」多様性を守り、回復させていくことが大切です。
ですから、生物多様性の地域戦略の策定を通じて、生物多様性保全の意義が、
それぞれの地域地域で、広く共有され、関連する施策に反映できるのであれば、
その意味は大きいと思います。
Q.
イギリスのナショナルトラストは特に海岸線を守ることに重きを置いているのが
特徴だということですが、海岸の土地を買い取ることによって、
どのような事から守ろうとしているのですか?
A.
今回のお話させていただいたなかで、イギリスにおける自然海岸の保存のため
の「ネプチューン計画」についてご紹介させていただいたのを受けてのご質問
と理解いたします。
さて、イギリスにおけるナショナルトラストの歴史は100年以上の年月を
遡るものですが、1950年頃までは、湖水地方などの水辺環境のトラストには
力を入れていましたが、海岸線はその対象となっていませんでした。しかし
50年代に入り、都市化や開発の波が、海岸線にも及ぶようになってきました。
産業化の進展や、海外との流通の拠点としても海岸線が工業開発の拠点となり
ました。北海に、北海油田があるのをご存じかと思いますが、こうした石油
精製基地の建設なども、海岸線の破壊につながることが懸念されました。
もちろんこうした拠点施設が建設されれば、アクセス道路や関連施設の建設
にもつながります。
イギリスは、日本と同じように海に囲まれた国ですから、海岸線を含めた自然
景観に対する思い入れが大きいのだと思います。
Q.
日本とイギリスでナショナルトラストの活動の積極性・規模に大きな開きがあるのは
単に歴史的な問題ですか?それともものの考え方の相違があるのでしょうか?
A.
正直、私も疑問に思う時が今でもあります。
そこで、私の現時点での理解ということで述べさせて頂きます。
まず、ご指摘いただいているところを共通すると思いますが、歴史的な背景
というのは、大きいと思います。歴史的にみて、土地の支配が、王室・貴族
の多大な影響下にあったものを、トラスト地としていくのと、そうでない
日本との違いはあるにしても、土地をより公益的なものにシフトさせていく
には、社会のしくみを変えていくことで、その活動を推進しやすくする必要
があります。そのために、イギリスでは、これまでに関連する法律の見直し
により、寄付がしやすいように、また、トラスト地が永遠に守られるように
してきています。
具体的な例をご紹介しますと、
■譲渡不能宣言
取得した資産のうち、特に保全すべき価値の高いものを譲渡不可とし、売却
や抵当の対象にしない宣言をすることができます。(ナショナルトラスト法)
■相続税の免除
相続が発生したときに、トラストに資産を寄付すると、寄付者の相続税は
非課税となります。(財政法)
■所有権移転後も使用できる制度
建物を寄付した人の子孫は、その資産の一部を公開することを条件に、
そこに住み続けることができます。(財政法)
■保存誓約の制度
資産をもっている人が、ナショナルトラストとの間で、その資産を売却したり
壊したりしないという「保存誓約」をかわすことで、相続税の減免が受けられ
ます。(ナショナルトラスト法)
イギリスにおけるトラストに対する意識は、日本と比べたしかに高いと思い
ます。ただそれは、国民の意識を高くするためのしくみが、確立されている
から、結果としてそうなっているともいえ、日本においても、例えば、寄付
者に対する経済的なメリットなどが、社会のしくみのなかで明確に位置づけ
られれば、寄付は増えると思います。
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「失って初めて気づきがちな大切さに、どれだけ事前に気づけるか?」
それは、見えないものを見る力、ともいうかもしれませんね。
想像力の大切さを感じたひと時でした。
松浦さん、ありがとうございました!
ますますのご活躍を、d-laboスタッフ一同、お祈りいたします!
AH
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